2014年3月22日土曜日

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 五嶋みどり

演奏:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団/指揮:リッカルド・シャイー。
    ヴァイオリン:五嶋みどり
 曲目:メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64。
    ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調op.47/他


五嶋みどりのコンサートを聴いて来ました。
ウッドウイルのヴァイオリンの再生音は彼女の音色を基準にチューニングしていますので、
定期的に聴きに行っています。


今回はリサイタルでは無くてオーケストラとの共演でした。
大変メジャーな曲「メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64。」の
ソリストとしての演奏です。


メジャーな曲ですが、なかなか国内で五嶋みどりの演奏で聞く機会は少ないのです、
チケットも安くはありませんが、それでも彼女の才能を目前にして聞く事が出来る
幸せをありがたいと思わずにはいられません。


2、3年程聞く機会が空いた為に私の期待度が高まったのか、彼女が更に進化したのか、
演奏に心酔したと言うか、感動と言うのか、何と言ったら良いのか分かりませんが、
とにかく他では感じる事の無い深い思いを感じさせてくれる演奏です。


同曲のCDは2003/9のベルリンフィル/マリス.ヤンソン指揮で何度も何度も聞いてはいますが、
果たしてそれから11年の間での変化は...
音色の色使いが増えている、曲への理解度が深まっている、
その演奏を見ていて思ったのは
  深山の巨木が周りの樹木をも巻き込んで一体となり
  風雪に耐え忍んでその樹形が曲がりくねり瘤を抱えながらも生き続けている生命力、
  華奢な体でヴァイオリンを抱え込んで苦しむ様に悶えながら演奏するその姿を見ていて
  そんな光景を見ていた様に思うのです。


もう充分に熟達しているので、その術を綺麗に上手に使えば名声は幾らでも付いて来るのに、
そんなレベルにとうに達しているのに、そうはしない様です。
欧州の階級社会と同様にそれに染まる音楽家とは別世界の人間の様です。
求道者です、求め探し続けています、その姿に心打たれます。


アンコールはソロでプログラムの一部かと思われる程の時間を割いてくれました。
「バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番 BWV1004よりフーガ」です。
彼女のCDには収録されていない曲を聴かせてくれました。


サントリーホールの数千人の人間が完全に沈黙します。
前にも書きましたが、みどりの演奏中に咳払いをする様な観客はいません。
もの凄い集中力で演奏し、観衆も負けずと聞き入っています。
本当に一人で演奏しているの?なんという響きが生まれて来るの?
その音色を聞いていて自然に涙が流れて来ます。


演奏が終わって観衆はほっとして脱力しながら拍手します。
カーテンコールがあってやっと気を取り戻して拍手に力がこもります。
飄々とした小柄で細い体は、アジアの修行僧の様、
ウッドウイルのお客さんが言っていましたが、最近の彼女の顔つきは
京都/奈良に行くと見かけると?そう、仏像の様にです。


何時もは殆ど目を閉じて音を拾って聞いているのですが、
今回は目を閉じる隙はありませんでした。
聞く方だって真剣であった様に思います。
尚、この日の演奏は後に番組となって放映されるそうです。





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